デグーの床材・敷材は何を使うべき?時々、敷材を食べてしまうけど、大丈夫?今回はこういった疑問にお答えするべく、デグーの足の健康と床材について解説します。
(執筆者:animal_care_information)
デグーの足を観察してみよう
デグーの「歩き方・足毛の生え方・足裏の色や硬さ」を確認してみてください。「歩き方に変な癖がある」「足の裏が硬くなっている・腫れている」「爪が伸びすぎている」。このような場合は、ケージ のレイアウトに下のような問題があるかもしれません。
チェックポイント
- ステージの高さや間隔が合っていない
- 木製ステージが不衛生、またはケージ内がジメジメしている
- 敷材が合っていないか、またはメッシュすのこだけで敷材を使っていない
- 体調不良などで運動量が減っていて、爪がすり減る機会が少ない
- 免疫力が低下していて、ちょっとした足の傷が治りにくくなっている
- 高齢で足腰の骨が変形してきている
つまり、なんらかの理由で足に負担がかかっているときは「歩様(歩き方)に変化」「足の指が変形」「足の裏が硬く」なったりします。放置しておくと、感染を起こすこともあります。
このようなときに動物病院へ相談する場合は、「ケージのレイアウト・デグーの足場・敷材がわかる」ような写真を持参してください。または「普段飼育しているケージごと受診する」など、参考になるような情報を飼い主からも提供することが早期解決につながります。
デグーを連れて動物病院に行く時はおかしいと感じる様子の写真や動画を撮って行くことをお勧めしたいです。
診察の僅かな時間では症状が表れず『様子を見てください』になることも。
せっかくの通院を無駄にしないためにも、様子を撮った動画があれば、それで診断がつくこともあります#デグー #通院— *~典紗(つかさ)~* (@Degus_7garnets) 2018年10月11日
夏時期の足毛は薄く、冬は密集して生えています。常に毛が薄い場合は、どこか特定の場所で擦れてしまっているかもしれません。この場合も、ケージのレイアウトを見直す必要があります。
また、デグーの癖で「自分の手足の毛を抜いていないか」も確認しましょう。 癖が悪化すると、自分だけでなく同居デグーの毛も抜いてしまうことがあります。
刺激を受けた皮膚が肥厚や色素沈着を起こす場合、細菌などの二次感染を起こすことがあります。※ここでいう「色素沈着」とは皮膚が分厚くなって黒ずんでくることを指します
足以外にも毛が薄い部分が複数あり、強い痒みがある場合は寄生虫や真菌の感染も疑う必要があります。
そのほか、同じ場所をしきりに噛んだり舐めたりしているときは、その部分に痛みがあるかもしれません。「軽い捻挫・骨折・腫瘍」など、原因はさまざまです。このような行動が続くときは動物病院を受診しましょう。
【床材の種類】長所と短所
最近ではデグーの床材が多種多様になり、飼い主さんはさまざまな選択肢が増えました。ケアペーパーなどの紙を細長く切ったものや「牧草(チモシー)・わら・砂・古布・ペットシーツ」などもあり、単独または組み合わせて使用する飼育環境もあります。
デグーの床材例
- 木製すのこ
- プラスチック製すのこ
- ウッドチップ
- ウッドペレット
- 新聞紙などの古紙
床材はどれが良くてどれがダメということはありませんが、それぞれの「長所と短所」を把握しておくことで、事故やトラブルの防止につながります。
すのこ類
最も使いやすい床材のひとつでしょう。ただし、すのこの間に足がはさまって怪我をすることがまれにあります。また、木製すのこは尿が染み込んで汚れやすいため、定期的な清掃の後、よく乾燥させる必要があります。
牧草・チモシー・わら
衛生面ではもっとも利用しやすいでしょう。デグーが食べても問題ありませんし、汚れた部分だけ交換することができます。足の健康という面では、特に若齢デグーや老齢デグーには「短め・柔らかめ」の牧草が適しています。
ウッドチップ・ウッドペレット
「消臭効果」「天然素材」などのキャッチコピーだけを見ると、もっとも適した床材のように思えます。しかし、まれに原料の木材にアレルギー反応を示すデグーがいるので要注意です。(関連:デグーのアレルギー対策)
針葉樹が原料の場合、これらに含有される揮発性物質が身体に影響を与えることがあります。毒性が高い物質ではありませんが、代謝経路が麻酔のそれと似ているため、デグーによっては麻酔の効きが悪くなります。使用する麻酔の量が増える可能性があることを覚えておきましょう。
原料の木材そのものは無害ですが、チップやペレットに加工する段階でなんらかの薬剤が使用されている可能性もあります。それらを口や皮膚から継続的に摂取することには不安が残ります。
ケアペーパー・新聞紙
比較的利用しやすい素材といえるでしょう。新聞紙や折り込み広告などは、大量に食べてしまったときにお腹の中で水分を吸収して異常に膨らんでしまう心配があります。
印刷に使用されているインクは必ずしも安全とはいえません。印刷していない新聞用の紙も市販されていますので、紙類を食べる癖がないデグーに使用するのであれば、いいかもしれません。
デグー用の砂・石
海外では一般的な床材です。日本では金属メッシュのケージで飼育している場合が多く、砂の飛び散りが問題になります。また、自治体によっては廃棄する際に特別な分別が必要になり、他の床材より手間がかかるかもしれません。
デグーが砂を食べてしまう場合もあるので注意が必要です。
(参考:デグーの砂浴びについて)
古布・ペットシーツ
ケージ周囲に敷いたり、「メッシュ・すのこ」の下の引き出し部分に入れるのであれば問題ないでしょう。ケージ内に直接敷いて使用する場合、ペットシーツは尿の色が見やすく表面を清潔に保ちやすい反面、デグーが食べてしまう可能性があります。
また、古布はほつれた糸が足にからまって大怪我をする可能性があります。万一のことを考え、慎重に使用しましょう。
その家に合った「最適な床材」をみつけよう
以上を参考に、まずはさまざまな床材にチャレンジしてみましょう。ケージレイアウトとの相性もあります。デグーの性格も大きく影響します。
いろいろな床材に興味を持って、なんでも口に入れてしまうデグーもいれば、どの床材にも無関心なデグーもいるでしょう。「おっちょこちょい・好奇心旺盛」など、性格的に怪我や事故を起こしやすいデグーとそうでないデグーでも床材の選択肢が変わってきます。
さらに飼い主さんのライフスタイルも関係してきます。「床材の価格・清掃の頻度・ケージの置き場所」などを考慮しながら床材を選び、状況に合わせて使い分けるといいでしょう。
(参考:デグーの床材を徹底調査!足に優しいおすすめの床材はどれ?)
我が家の床材例
筆者は紹介した床材の半数以上を使用した経験があります。最終的には、現在飼育しているデグーの床材は「クラフト紙」に落ち着きました。
ケージの1/2サイズの紙を2枚敷き、汚れの程度に合わせて1/2枚だけ取り替える時と全面取り替えるときがあります。デグーは決まった場所で排尿する習性があるため、通常は1/2枚の交換で済みます。
朝にクラフト紙を敷いておくと、デグーが自分で常設の砂浴び容器から古い砂を掻き出して敷いてくれます。その後、砂浴び用の新しい砂を補充しています。半日もすると、牧草フィーダーから細かい牧草や食べ残しが落ちて、「紙+砂+草」の3層床材の完成です。
ここに自家製おやつミックスや「木枝・殻付き木の実」などを日替わりで播きます。選り分けて食べている時間が長いため、ケージをガジガジ齧ることもほとんどなくなりました。
ただし、水分を含んだ生牧草や野草は砂と混じらないよう、衛生面を考えてケージ2階に設置した別容器で与えています。「メッシュすのこ」の下の引き出し部分には、時々コーヒーかすを入れていますが、入れなくても尿臭はほとんど気になりません。
以前飼育していたデグーは遠くまで砂を飛ばし、中には紙を食べてしまうデグーもいました。布からほつれた糸が足にからまってしまったこともあります。
筆者の飼育環境に限定すれば、「紙+砂+草」がベストな床材といえます。試行錯誤して、「これだ!」という床材の組み合わせに出会ったら、ぜひ情報をシェアしていただけると、お互い参考になると思います。
逆に「ネットで見たから」「ペットショップで勧められたから」という理由だけで、安易に床材を固定してしまわない方がよいと筆者は考えます。デグーの高齢期など、ライフステージに合わせて食事内容やケージレイアウトを変えるように、床材も足の健康状態に合わせて定期的に見直してみましょう。