かわいいデグーに「いつまでも元気いっぱいに過ごしてほしい」と思うのは、飼い主の共通の願いです。しかし、他の生き物と同じようにデグーも歳をとっていきます。
幼少期は元気に走り回っているのでイメージしにくいかもしれませんが、デグーの寿命はだいたい5年から9年なので、4~5年を過ぎた頃から衰えを感じはじめると思います。
それでは幼少期から高齢にいたるまで、デグーは「どのような一生を過ごすのか」を紹介していきます。これからデグーを飼う方は、デグーに衰えがきても「面倒を見てあげられるか」を考えてみてください。(執筆者:伊藤悦子)
デグーの寿命はどのくらい?
デグーの種類(毛色)は、アグーチ(茶色)、ブルー、ノーマルパイド、ブルーパイド、サンドパイドなど複数の種類がいますが、基本的には5~9年程度の寿命と言われています。小動物としては長生きできるほうなので、大切に飼うことで元気に長生きさせてあげることもできます。
デグーの赤ちゃん時代
産まれてすぐのデグーは、体長5センチ程度、体重15g程度です。産まれたとき、すでに被毛が生えそろっています。また、目が開くのも早く、産まれて3~4日で目が見えています。
同じげっ歯類のモルモットも毛が生えそろった状態で産まれてきますが、ラットやマウスの赤ちゃんは、毛が生えていない状態で産まれてきます。デグーの赤ちゃんは一度に3~6匹産まれ、体を寄せ合って温めあいます。
また、聴覚もすでに発達しており、赤ちゃん同士でコミュニケーションをとっています。このように、デグーの赤ちゃんは産まれてすぐに自立する能力が備わっています。このとき、うまく母乳を飲めない子や、体重が順調に増えない子はヤギのミルクで人工哺乳をします。
生後7~10日のデグー
生後1週間では体重が20~25gになります。最初はお母さんデグーの母乳を飲んで育ちますが、産まれて10日もすると、やわらかい生の牧草を食べられるようになります。人間の年齢では0歳から2~3歳くらいです。
飼育のポイント
自立の早いデグーの赤ちゃんですが、体温調節などは未熟でうまくできません。もともと暑さ寒さに弱い生き物ですが、赤ちゃんのときは特に気をつけないといけません。
夏はエアコンで冷房を入れておき、さらに冷たいプレートなどを置いておくと安心です。冬はペット用ヒーターなどで温めるようにしますが、コードを齧られないようにしましょう。(参考:デグーの気温対策(暑さ・寒さ))
デグーの子供時代はいつ?
デグーの子供時代は、離乳が始まる生後4~6週目くらいです。生後4週にもなると、体重は60gほどになり、やわらかい草だけでなく、親デグーの真似をしてチモシーを食べられるようになります。
母乳はほとんど飲まなくなり、そろそろ離乳する時期でもあります。このあたりから歯の色が、淡い黄色~オレンジ色になっていきます。白いままではエナメル欠損症の疑いがあります。
兄弟をそのまま同じケージで飼育していると活発に一緒に遊んだり、固まって眠ったりするかわいい様子が見られます。赤ちゃん時代と同じく、暑さ・寒さの調節には特に気をつけてあげてください。
生後6週目頃は、お母さんのミルク卒業
体重は約70~80gくらいになり、生後6週くらいで完全に離乳します。子供だけのケージで過ごすことができるようになります。回し車などを入れて自由に遊べるようにしておきます。
活発になってくるのでケガのないように、ステージの位置や止まり木の配置などケージの中を再チェックしておきましょう。
デグーの思春期・青年時代
デグーがそろそろ大人になる生後3ヶ月から6ヶ月くらいは、活発で元気な時期です。生後3ヶ月になると、早い子では発情を迎えるメスもいます。油断していると交尾していて、妊娠することもあります。
生後2~3か月くらいから、やさしくコミュニケーションをとると懐かせやすくなります。名前を呼んで覚えさせましょう。
生後6ヶ月は立派な大人
このくらいの時期になると体重は約170g前後になります。生後6ヶ月にもなると、もう大人のデグーの仲間入り。メスのデグーでは発情・妊娠・出産を経験する子もいます。
注意点
オスとメスと同じケージに入れていると、気づかないうちに交尾をして妊娠していることがあります。繁殖させる予定がないのなら、オスとメスは早めに分けておきましょう。
デグーの壮年時代は?
生後1年から2~3年くらいになると、デグーはすっかり大人です。体重は170~250gになります。大きめの子なら300g程度まで育ちます。人間の年齢では20歳程度です。
この時期は活発なので、単独で飼育している子はたくさん遊んであげてください。デグーが運動できるように、回し車やトンネルなどをケージに入れることも必要です。
生後2年頃、もう中年?
人間では30歳くらいになっています。デグーの1年は人間の10年と考えておくといいでしょう。糖尿病にならないためにも食べすぎに注意しましょう。太っていなくても糖尿病になるので、健康チェックを忘れずに。
繁殖させたい場合、メスはそろそろ適齢時期が終わります。生後2年になる前に繁殖させ、それ以降は控えてあげましょう。
デグーの高齢時代
生後4年もすると、そろそろ老化が始まります。デグーが歳をとるとどうなるのでしょうか。命にかかわるので、メスは繁殖させるのをやめましょう。人間の年齢に換算すると50歳くらいです。健康にもより注意してあげてください。
今まで回し車などで遊んでいたのが、だんだん遊ぶ時間が減ってくる子もいます。
しかし、すべてのデグーが4年を過ぎると元気がなくなるわけではありません。今までと同じように活発な子もいるので、個体差があると考えておきましょう。
運動量が減ったら、食べ物にも注意が必要です。高カロリーのおやつを食べすぎないように気をつけて、健康チェックは今まで以上にしてください。歯は一生伸び続けるので、牧草だけはたくさんあげてください。
デグーとお別れする準備
生後7~8年は、人間でいうと70歳くらいです。噛む力が弱くなり、聴覚や嗅覚が衰えてきます。後ろ足の力が弱ってきている子もいます。高いところから落ちることのないように、ケージの環境を見直してあげましょう。
「止まり木を増やす」、「ステージを増やす」など、高齢になったデグーが動きやすいようにします。また、ケージの出入りもうまくできなくなることがあります。飼い主が両手で出し入れしてあげるか、出入り口に階段のようなものを取り付けてあげるといいでしょう。
牧草がしっかり食べられているうちは、そのまま与えます。固いペレットが苦手になってきたら、やわらかくしたものを与えてもいいでしょう。
給水ボトルはデグーがきちんと飲めているか確認します。飲みづらそうだったら、あまり高いところに設置せず、飲みやすい位置に取り付け直します。今までよりいっそう健康に気遣い、大切にしてあげましょう。
この時期になると、いつデグーとお別れするかわかりません。最後のときを迎えたら、感謝の気持ちで送り出してあげてください。我が家の初代デグーは、ペット霊園で埋葬しましたが、お骨は持ち帰って自宅で供養しています。
デグーが長生きするためには??
デグーの「おはぎたん」は9歳以上の長寿デグーだったので、飼い主のおはぎママさんに、長生きの秘訣を聞いてみました。
日常生活で気をつけていたことは?
- デグーが長生きするために、日々の生活で気をつけていたことはありますか?
- 気をつけていたのはデグーの体質に合った食事、適度な運動、日光浴です。人間と同じです。
─TORU
食事面では、具体的にどのようなことに気を配っていましたか?
─おはぎママさん
糖分を含むものは一切与えなかったので糖尿病にもならず、9歳過ぎるまで病気もせず元気に過ごせました。
※ブドウ糖、グラニュー糖は健康上危険。果物の糖質も糖尿病の原因になる恐れあり
今思えば、質素な食事がかえって良かったのかなと思っています。与えていたのは、主食にチモシー、デグーバランスフードです。おやつに乾燥人参、乾燥パパイヤの葉(糖尿病予防になるので)、乾燥パセリ、乾燥オオバコぐらいです。
かぼちゃは糖分を含むので、シニアになるまで与えませんでした。また、エン麦より大麦をあげていました。大麦の方が糖分が低く、資質も少なめでヘルシーです。ただ、大麦でも与えすぎはよくないと思います。
- 日光浴はどのようにしていたのですか?
- 部屋んぽ中に日向ぼっこができるようにしていました。暑い日は逃げ場が無くなってしまうので、ケージごと日に当てるのは避けました。人間も1日15分の日光浴が健康に良いそうですね。
高齢デグーの介護について
- デグーの介護ですが、食事面で気をつけたことを教えてください。
- 9歳3ヵ月の時に下痢で体調を崩した事がきっかけで、今まで食べていたデグーバランスフードとチモシーを食べなくなりました。そこから給水器から水を飲まなくなりました。
─TORU
やはり高齢になると給水器から水が飲めなくなるんですね。水分はどのように取るようになったんですか?
─おはぎママさん
おそらく、高齢になり内臓機能が低下しうまく消化できなくなったのだと思います。それからの約半年間は指に乗せて食べさせていました。水分は食事からとらせました。
─TORU
食欲がなくなってからは、どのような食生活になっていったのでしょうか?大変だったことも教えてください。
─おはぎママさん
食欲が無くなってからは、以下のような形で食事をしていました。
食欲が無いとき
チモシー、デグーバランスフード、乾燥パパイヤの葉、乾燥人参、カボチャ、ナッツ類をすべてミルで粉砕し、お湯でゆるくしビタシロップを少しかけ指に乗せ食べさせていました。飽きてきた時は、パパイヤの葉をお湯に浸して柔らかくし、上記で紹介したものをサンドイッチして食べさせました。
食欲が回復してから1
デグーバランスフードをお皿に入れて、お湯で柔らかくした物をケージの中に入れていました。時間が経つと乾いて来るので、水を足しつつ朝、昼、夕方、夜に餌の交換をしました。
食欲が回復してから2
冷凍かぼちゃをレンジでチンして柔らかくし、医療用:ベルキュアエキゾ(動物病院取扱品「ニンジン、ブロッコリー、カボチャ等の粉末」)、人間用の黒ごまアーモンドきな粉をカボチャにまぶし、ビタシロップをかけた手作りごはんを、様子を見ながら2時間おきぐらいに食べさせました。
その他、茹でた枝豆、缶詰の大豆、豆腐、茹でたさやいんげん、小松菜、大根葉、すりおろし人参を食べさせました。ナッツ類や好きなおやつも含め、とにかく食べさせました。
食事で水分を取りすぎると下痢をするので、水分調整はかなり苦労しました。高齢で飲み込む力が低下していて、誤飲が怖かったのでシリンジは使いませんでした。
高齢になってからの怪我や病気
- おはぎたんは怪我や病気などは大丈夫でしたか?
- 怪我や病気はしませんでした。両手のハゲは皮膚病ではなくストレスが原因でした。おはぎたんが若い頃は、私の仕事が忙しく、あまりかまってあげられなかったので反省しています。
─TORU
高齢になってからの体調はどうでしたか?
─おはぎママさん
糖尿病にはなりませんでしたが、9歳になったあたりから白内障になりました。目の真ん中が透明になっていきました。視力はだいぶ低下しましたが、ヒゲセンサーをうまく使っていました。部屋んぽや生活に影響はあまりなかったように感じています。
デグー高齢時のケージレイアウト
- 高齢になってからケージ内の環境は変えましたか?
- レイアウトは基本的には変えませんでした。目が見えなくなってきたので、配置を変えるとわからなくなってしまうので(汗)
─TORU
たしかにそうですね。ケージ内で工夫されたことはありますか?
─おはぎママさん
実際に対策したのは、以下の3点です。
ケージで変更した箇所
- ハンモックの位置を低くしました。
- 止まり木の数を増やし、段差を減らしました。
- 落ちた時に怪我をしないように、ケージ全体にたっぷりチモシーを敷きました。
ただ、日に日に歩けなくなっていったので、床材をチモシーではなくダイソーで売ってるタオル(爪に引っかからない仕様)にすれば良かった!と思いました。チモシーだと足を取られて動きにくそうでした。
─TORU
こういうのは実際にやってみないとわからないですよね。これからシニアデグーの介護をしていく飼い主さんは、おはぎママさんのお話がすごく勉強になると思います。
─おはぎママさん
高齢デグーの介護経験者はまだまだ少ないと思います。私の経験が今後のみなさんのお役に立てれば、おはぎたんも喜ぶと思います。
※おはぎママさんのInstagram
おはぎママさんは閲覧制限をかけていますが、質問などある方はお気軽にフォロー申請していただいて、質問もOKとのことです。シニアデグーの飼育を経験された方はまだまだ少ないと思うので、より詳しく聞いてみたい方は質問してみてください。